傷、のちに愛
絵美は納得したようなしないような、複雑な表情でうなずくと口を開いた。
「…何かあったら言ってね?」
「もちろん。…さ、行こ?」
私たちは立ち上がり、学食へ場所を移した。
授業が終わると、私たちはいつも学食でお茶をする。
お互いにアルバイトをしているわけではないので、気が向くままにいろいろなことを話すのだ。
外を歩いていると、風が吹いてきた。
「しかし和葉さぁ、髪サラサラだね」
私の髪が風になびくのを見た絵美は、ため息をつくようにそう言った。
「そう?絵美だって…」
「島貫」
私が口を開いたのを遮るように、誰かが会話に割り込んできた。
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