傷、のちに愛



絵美は納得したようなしないような、複雑な表情でうなずくと口を開いた。

「…何かあったら言ってね?」

「もちろん。…さ、行こ?」

私たちは立ち上がり、学食へ場所を移した。

授業が終わると、私たちはいつも学食でお茶をする。

お互いにアルバイトをしているわけではないので、気が向くままにいろいろなことを話すのだ。


外を歩いていると、風が吹いてきた。

「しかし和葉さぁ、髪サラサラだね」

私の髪が風になびくのを見た絵美は、ため息をつくようにそう言った。

「そう?絵美だって…」

「島貫」

私が口を開いたのを遮るように、誰かが会話に割り込んできた。



.
< 17 / 104 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop