傷、のちに愛
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絵美には先に帰ってもらい、私は彼の研究室に連れてこられた。
…帰ったら絵美に電話しよう。
部屋には何の音もなく、私は早くここから出たくてたまらなかった。
「…和葉ちゃんさぁ、髪伸ばさないの?長いほうが似合うと思うよ」
先に口を開いたのはあちらだった。
…って、なにそれ。
「…伸ばすつもりはないです」
―――過去にもそう言われたことがあった。
…あれがこの苦しみの始まりだったのに、言われるがままに。
「…昨日の続きってなんですか?」
私は、俯いたままそう言った。
「続きなんてないよ」
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