傷、のちに愛
1:怯えるように
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「和葉!おはよう」
私が大学までの道のりを歩いていると、うしろから親友の鈴木絵美が声をかけてきた。
「おはよう」
友達が少ない私にとって、絵美は本当に心を許せる貴重な存在だ。
二人で並んで歩いていると、絵美が思い出したように話し出した。
「そういや昨日も二宮が和葉のアドレス教えてって言ってきたよ〜。断ったけど」
「ありがとう。…いつもごめんね」
「いやいや。おやすいご用よ」
私の事情を知っている数少ない人。
何かあると私を守ってくれている。
絵美がいなかったら、私は大学に通えていないかもしれない。
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