傷、のちに愛
当たり前のようにそう言い話つ彼。
…だったらなんで呼んだ訳?
私は苛々する気持ちを抑えて話した。
「じゃあ帰ります」
私は立ち上がり、そのまま研究室をあとにしようとした。
「――っ、待てよ!」
そう言い、私の腕を掴んできた。
―――――!
「…いやぁっ!」
男の人の肌の感触に全身が粟立ち、私は悲鳴に近い声を上げる。
すると彼は慌てて手を離し、私の様子をただ見ていた。
肩で息をし、涙ぐむ私はきっとただの過剰反応な女にしか見えないはず。
は…早く、逃げなくちゃ――…
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