傷、のちに愛
【Side:千秋】
―――最初は、ただタイプだなだけだった。
暗めな茶色のショートカット。
整った顔。
白い肌。
…でも、その瞳には涙がいっぱいで、青ざめながら息を整えていた。
なにがあったのだろうか?
好奇心で声をかけた。
研究室に呼び、触れるだけのキスをした。
―――今まで、女は俺が少し優しくしてやればすぐに俺のものになった。
今回もうまくいくと思っていたのに……
「最低!」
平手打ちと、拒絶の言葉。
そのあとしばらく、俺は一人研究室で呆然としていた。
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