傷、のちに愛
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あのあと、私は半ば強引に彼…小早川千秋の車に乗せられ、アパートまで送ってもらった。
何回も拒否したけど、引き下がってはくれなくて。
さすがに断るのも面倒になり、渋々お願いしたのだ。
それに、仮にも相手は大学教授。
――肩書きを信用してみた。
「…和葉ちゃん」
ふと、名前を呼ばれた。
私は返事もせず、窓の外を眺めていた。
「その、もう何もしないから安心してよ」
「…信用できません」
私は呟き、ため息をついた。
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