傷、のちに愛
はは、と彼の乾いた笑い声が聞こえた。
「だよねぇ…」
ひどく頼りない感じの声に、私はつい微笑んでしまった。
「あ、ここでいいです」
いつのまにかアパートの近くまで車が来ていたことに気づき、車を止めさせた。
「…ありがとうございました」
「――和葉ちゃん!」
私がそう言い車を降りようとしたとき、彼は私の名前を呼んだ。
思わずそちらを見てしまい、視線がぶつかる。
「…俺の彼女になってよ」
真剣に、静かに。
私に向かってこう言った。
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