傷、のちに愛



絵美も気づいたようで、その人物に手を振り手招きまでしている。

「先生!こっちこっち」

「ち、ちょっ…絵美!目立つよ!」

小声で言ったが効果がない。

私たちの元に小早川千秋が向かってきた。

「鈴木さん、島貫さんこんにちは」

絵美は笑顔で返事をしたが、私は俯いて少し頭を下げただけにとどまった。

「楽しそうだね、なんの話をしてたの?」

柔らかい微笑みを浮かべてそう話しかけてくる。

……妖しい笑顔。

世間一般の女の子たちはそれがいいんだろうけど、私は無理。

まったくいいと思えない。

早くどっかに行ってくれないかな。



.
< 33 / 104 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop