傷、のちに愛
「なにがあったか知らんけど、苦しいなら誰かに頼れよ。…俺でよければ、いくらでも背負ってやるから」
「無…理です」
「最初から決めつけるな」
「……あなたになんか言いたくないっ!あんなに傷つけられたのに、さらに傷をえぐってくるような男なんかに、わかるわけない!」
―――ずっとずっと抱えて、我慢してきたのに。
私の感情が、決壊した。
面食らったような顔をしている小早川千秋に、私は怒鳴り散らした。
「あのときだってそう。…『好きだ、愛してる』なんて都合のいい言葉ばっかり並べて、平気で私を傷つけた!――私は許さない!男なんてみんな許さない!」
全身の震えを押さえるように両手を握りしめ、私は唇をかんだ。
「…小早川先生、私は無理です。男なんて許せない。だから恋もしない」
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