傷、のちに愛



その一言で私の顔はますます赤くなる。
一瞬で耳の裏まで暑くなった。

『電話してよかった。じゃあ切るよ』

―――あ。

なんだろう。
一旦はこっちから切るって言ってるのに、相手から言われるとなんだか寂しい。

「…はい」

『寂しいならそう言えばいいのに』

私の気持ちを見透かされたようなセリフに、私はつい敏感に反応してしまう。

「べ、別に寂しくなんかありません!」

すると、電話越しにクスっと笑い声が聞こえた。

『また電話するね』

そう言ったのを最後に、電話は途絶えてしまった。



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