傷、のちに愛
顔を上げると、そこにはたばこをくわえた背の高い男の人が立っていた。
逆光で顔はよく見えないが、学生には見えないくらい雰囲気を出している。
私は声も出せずに彼を見つめていた。
「――おい、聞こえないのか?お前美人なのにその顔色じゃあ台無しだぞ」
そう言いさらにのぞき込んできた。
―――嫌だ!近寄らないで!
そう言いたいのに、口が開かない。
至近距離で見て気づいたが、この人、かなり整った顔してる。
特にその鋭い目。
私は目をそらすこともできず、その場に立っていた。
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