傷、のちに愛
――なんかあの笑顔に逆らうことができなかった。
私たちは、少し距離を取りながらも並んでスーパーまで歩いている。
特に会話もなく、なんとなく気まずい雰囲気だが私から話しかける勇気もない。
昨日の車の中もほぼ無言だったけど、気まずいとか思いもしなかったのに。
…って、なに考えてるんだろう私。
「…和葉ちゃん、ありがとね」
「えっ?」
急にどうしたんだろう。
私たちはどちらともなく立ち止まった。
「――いや、絵美に釘刺されたんだ。軽い気持ちで近寄るなって」
絵美――
心配、してくれてたんだ。
そう言った次の瞬間、二宮くんは何かを決意したような表情で私に近づいた。
そして私の肩を掴んだ。
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