傷、のちに愛
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彼は、私のアパートから車で30分ほどの場所に住んでいた。
部屋の中は片づいていて、モノトーンで統一された家具が印象的だった。
駐車場からここまで、自然と私たちは手をつないでいた。
二宮くんとは近くにいることも苦痛だったのに、だ。
「和葉、座りな」
ソファに促され、私はその端に腰をかける。
彼は私の正面にしゃがみこみ、私の手を優しくさすり続けている。
「…落ち着いたか?」
「うん」
「和葉、…いいのか」
「え?」
私は、なにについて聞かれているのかわからず聞き返した。
すると、彼は苦笑いを浮かべて続けた。
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