傷、のちに愛



見たくない光景を見せつけられたのは、金曜日だった。

授業後、絵美と二人で買い物を楽しんだ。
その後休憩がてら入ったカフェで、千秋さんと…きれいな女の人が一緒にいるのを見たからだ。

「和葉…あれ、先生じゃない?」

――本当だ。

女の人の顔はこちらからは見えないが、難しそうな顔をして話をしている。

「…だね」

誰?

「ヤバッ、見つかる!」

二人が立ち上がった姿を見た私たちは、とっさに身を隠そうとした。

しかし、しっかり見つかってしまったようだ。

「――和葉!」

慌てたような声色で私を呼ぶ千秋さん。

私は顔を背けた。



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