傷、のちに愛



すると、千秋さんの前を歩いていた女の人は不機嫌そうな顔でこちらに向かってきた。

「ちょっと千秋!…なに、このガキんちょが次の相手な訳?」

背の高い、ちょっと派手目な美人さん。

私の顔をまじまじと見て、鼻で笑う。

「あなた、千秋は返してちょうだいね?」

返して…?

「遥!この子は関係ない」

お互いに呼び捨てで呼び合っているようだ。


……よっぽど親しい人なんだろう。
元、いや、今もつきあっている彼女なのかもしれない。

胸が張り裂けそうに痛い。



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