傷、のちに愛
そのまま今夜は絵美のアパートに泊まることにした私は、絵美と一緒に夕食を作ったりお笑い芸人のバラエティー番組を見て過ごした。
絵美がいなかったら、こんなに穏やかにしていられなかっただろう。
そう感じていたときだった。
―――♪♪♪
私の携帯が鳴る。
私たちは顔を見合わせ、携帯を見つめた。
ディスプレイには“小早川千秋”の文字が表示されている。
「…絵美、出てよ」
私がそう言うと、絵美は無言で頷き電話に手を伸ばした。
「はい」
絵美が電話に出たのを確認して、私は思わずトイレに隠れた。
また、涙が溢れた。
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