爽やか王子と内気少女
好きな人
「香……良かったの?」
体育館から出て、二人きりになったところで、弥生ちゃんが口を開いた。
「何が?」
私は惚けながら答えた。
「永井の事、あんただって好きなんでしょ?」
「えっ!なっなんで!」
弥生ちゃんに言ってないはずなのに、確信的な言い方に驚いた。
「見てればわかる…まぁお互いが気付いてないみたいだけど…」
「?」
「とにかく!梨華に協力するので良いの?」
弥生ちゃんは少し強めに言った。
「良いんだよ…良いの……」
「香……」
梅雨の到来という事で、外はいつのまにか雨が降ってる。
私の目からもポツポツと涙が流れた。
本当は嫌だよ…
でも、勇気がないんだよ…
その後、弥生ちゃんはその事に触れず、私の側に黙って居てくれた。