爽やか王子と内気少女
「折角だし、教室まで一緒に行こう?」
笑顔で言う永井君に梨華ちゃんは頬を染めながら頷いた。
…………。
「あっ!私、用事あるから先に行ってて!」
私はそう行ってクルッと進行方向を変えた。
永井君の「新垣!?」という声と、梨華ちゃんの「香ちゃん!」って声が聞こえたけど、聞こえないふりをして走った。
向かった先は図書室だった。
「……邪魔者は消えなきゃね…」
自分に言い聞かせながらそう呟く。
結局、私が教室に行ったのは、チャイムがなる直前だった。