爽やか王子と内気少女
図書室へ着くと、先に永井君が部屋に入り、後に続いて私も入った。
「永井君、本当に一人でできる量だし、弥生ちゃんに頼まれたみたいだけど、帰って良いんだよ?」
私は念を押すように永井君に話した。
すると永井君は顔を少しブスッとさせた。
「俺が居ちゃ迷惑?俺が新垣の手伝いしたいんだから手伝わしてよ」
少し怒った顔だったけど、とても優しい言葉だった。
「…じゃあお願いします」
渋々お願いする私に、永井君は先程の怒った顔からコロッと笑顔になった。
そして私の頭にポンッと手を乗せた。
「じゃあ何をすれば良いかな?」
「えっと、返却された本の番号をパソコンに打ち込んで欲しいの」
私はやり方を永井君に説明してお願いした。
私の仕事は、パソコンに入力済みの本を元の本棚に戻す事だった。
私の方が多少は本の場所を知ってるし、永井君には大変じゃない仕事の方をしてもらう為。