爽やか王子と内気少女
「……何それ…」
私が気を取り直してカウンターへ行こうとすると、永井君が低い声で呟いた。
「えっ?」
気づいた時には、私の腕を掴んで歩くのを停止させ、険しい顔を私に向けてる永井君の姿があった。
「俺の想いを無視して逃げないでよ…」
今まで教室で見た事の無い顔に胸が苦しくなる。
息をするのも苦しい…
でも、永井君の顔からは、私以上に苦しんでるように感じた。
「永井…君…」
「俺は…木村とか他の誰かでも良いんじゃない。新垣だから……新垣だからなんだよ」
永井君が熱い目で私を見て、目を合わせた私はそらせないでいた。
永井君の目が「聞いて」と言っていたから、口も動かせなかった。
「今日だって、他の奴なら代わりなんてしなかった。多分、他の人達誘って皆で早めに終わらせようとした……でも相手が新垣だったから、快く引き受けたし、時間をかけても二人で居たかった」