爽やか王子と内気少女



永井君は少し驚いた顔をしたけど「何?」と優しく聞いてくれた。


驚くのも無理ない。
今まで話しても、周りの子たちの話ばかりで、自分からはあまり自分の直接的な話をしなかったから。


それは、自分の事を話して嫌われたくなかったから…自分の話はつまらないと思ったから…



でも、永井君に……好きな人に聞いて欲しかったんだ。


私を知ってほしい……


そう思ったから。





「あのね、私…自分に自信が無いの。取り柄なんて無いし得意な事も無い。自分に自信を持てるようなものが見つからなかったの。


でも、永井君も含めて皆が朗読を褒めてくれて、これが私の特技みたいなものだって最近実感してきた。

今日もね「才能」って言われて、胸が熱くなったの。自分の自信に繋がるものを見つけたと思って……


だから伸ばして行こうと思うんだ。放送なんて緊張するけど、でも人が私の声を聞いてくれるなら、頑張ろうと思う……」




 
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