爽やか王子と内気少女
「梨華ちゃん…ちょっと良いかな?」
私は朝、登校して来た梨華ちゃんを誘って図書室に来た。
朝と言う事で利用者も係も居なかった。
ドアを閉めると、梨華ちゃんが不思議そうに首を傾げた。
「あのね、梨華ちゃんに言わなきゃいけない事があるの……」
「うん…」
梨華ちゃんは可愛い顔で私をじっと見た。
「ごめん、前に梨華ちゃんに協力するって言ったけど、協力できない……」
梨華ちゃんは驚いたみたいだけど、笑顔になって「理由があるんだね?」と言った…
私は頷く。
「あの……
私もね……
私も、永井君が好きなの!」
私が少し大きな声で言うと、本棚の方から
「ガタン」
と本が落ちる音がした。
パッと振り返ると、奥の本棚から出て来たらしい永井君の姿。
驚いて本を落としたようだ。