誘う手の群れ
「マサぁ、あれはなんだったんだぁ?」


「おれに聞いてもわかんねえよ!」


「オバケだよなぁアレ……」


「そう思う……」


「てゆうか、マジヤベーよ!」


「てゆうかソッコーうち帰ろうぜ!」


昌人はそう言うと自転車に跨った。

輝彦もそれに倣って自転車に跨ると自宅に向かって自転車を蹴り出した。

薄暗い町並みでも洞窟の中で見た空中に浮かぶ老婆のことを思い出すと妙な恐怖が蘇ってくる。

一刻も早く家に帰って今日この身に起きた恐怖を忘れたかった。

そして昌人と輝彦はそれぞれの帰路についた。
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