誘う手の群れ
祖母は戦時中の混乱期を駆け抜けてきた御宿穴に関しての唯一の生き証人なのだが、昌人が御宿穴に関することを訊こうとすると口を塞いでしまう。
そして決まって御宿穴には近寄ってはなんねと口にするのであった。
そうやって育ってきた昌人だったから、すり込まれるかのように御宿穴に関しては消極的になってしまうのだったが、輝彦の手前で消極的な姿勢を示すと輝彦からビビっていると言われてしまうような気がして輝彦の前では興味があるような振りをしておいた。
実のところ、まったく興味がないわけではなかったが、祖母から固く釘を刺されて育ったから、なんとなく御宿穴には躊躇するものがあった。
(大好きなばあちゃんを裏切るのもなんとなく気が引ける。)
という気持ちが昌人の本当の気持ちだったのかもしれない。
そして決まって御宿穴には近寄ってはなんねと口にするのであった。
そうやって育ってきた昌人だったから、すり込まれるかのように御宿穴に関しては消極的になってしまうのだったが、輝彦の手前で消極的な姿勢を示すと輝彦からビビっていると言われてしまうような気がして輝彦の前では興味があるような振りをしておいた。
実のところ、まったく興味がないわけではなかったが、祖母から固く釘を刺されて育ったから、なんとなく御宿穴には躊躇するものがあった。
(大好きなばあちゃんを裏切るのもなんとなく気が引ける。)
という気持ちが昌人の本当の気持ちだったのかもしれない。