誘う手の群れ
「い、行くか?」


怖いという気持ちを払拭させるかのように輝彦が言った。


「お、おう!」


ためらいながらも昌人はそれに応え、輝彦の横に立った。

ゴクリとつばを飲み込んで歩き始める。

鳥居をくぐり、地蔵を通り越す。

その際に、輝彦が地蔵の頭をなでて言った。


「なんまんだぁ」


「なんだそれ?」

昌人が訝しそうに訊く。


「まじないさ」


歩を進めながら輝彦は応えた。
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