氷菓少年は天然少女にかなわない
視線は一斉に笑佳に向けられる。



「りっくんと仲良くなりたいから、りっくんお願いします」



深々と頭を下げられ、これを断れば黒宮は、これ以上の無理難題を押し付けてくる可能性も否めず梨久はため息をつく。



「…………いいよ」



その時、どよめきの声が上がり隣のクラスの担任一ノ瀬が飛んできた。



「一体何事ですか!?」



その瞬間教室がシーンと静まり返り、黒宮は思いっきりいい笑顔で言った。



「今度やる新作アニメで盛り上がってたんですよ。一ノ瀬先生も、どうです?」

「アニメは好きじゃありません!」



一体何をしに来たのか、それだけを言い残しクラスへ戻ったのを見届けた黒宮はふて腐れる。



「アニメを馬鹿にする奴は黒魔術で呪ってやる。……おっと、忘れてた」



黒宮はポンと手をたたく。



< 16 / 73 >

この作品をシェア

pagetop