氷菓少年は天然少女にかなわない
帰りも修羅場なんです
「あ――やばい……もう頭入んない」

「お前、毎日そればっかだな」



魂が抜けたようにぐったりと机に横たわる佐助に俊哉が呆れ口調で言う。



春夜にいたってはテストさえ点取ればいい思考なため、授業中はほぼ睡眠中で今も寝ている。



黒宮がため息をつく。



「まったく毎度注意しても全然変わらないな、こいつは……他の先生からも苦情くるし、どうしようか」



帰りのホームルームの光景はいつも黒宮のぼやき半分、オタク話半分で、明日の事をざっくり短く話すだけだった。もうこのクラスでは慣れという名の常識であり、今では誰も口を挟まない。無論、梨久にいたってはめんどくさいから関わらない方向性だ。



梨久は事も無げに言った。



「そんなの簡単ですよ。はるは女好きだから、それを利用すればいいだけです」

「ああ、なるほど」



何を思いついたのかわからないが、また黒い笑みを浮かべている黒宮に俊哉は軽くため息をつく。



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