氷菓少年は天然少女にかなわない
そのあとは黒宮が意気揚々とオタトークを始めた。



「昨日やっと俺が頼んだ魔法少女ミミカルのミミカの抱きまくらと等身大タペストリーがきたんだよ!ミミカの制服バージョンと変身バージョン両方あるから、もちろん両方ゲットしたしな」

「くろ浮気じゃん!この前まで、清楚お嬢様キャラのマリアマリアってうるさかったのにさ〜」

「ふっ。まあ、宮原にはわからないだろうが……男女間の問題は複雑なんだよ」

「男女ったって、くろのは三次元じゃなくて二次元の子じゃん」

「……………宮原くん、このあとちょっと残ろうか」



おもいっきり眩しい爽やかスマイルを浮かべる黒宮に、佐助はくるりと俊哉の方を見る。



「俊哉〜どうしよう?」

「……知るか」



ホームルームも終わり生徒もじょじょに減っていき、梨久が帰ろうと席を立った時――またぐいっと制服を引っ張られた。



「……あのさ、制服引っ張らないでくれる?」

「だってりっくん行っちゃうから。ねぇ、一緒に帰ろうよ」



どうして自分なのか。自分じゃなくても春夜や俊哉を誘えばいいと思うが、特に春夜なんて絶対喜んで引き受けるはずだ。



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