氷菓少年は天然少女にかなわない
そんなやり取りを見ていた春夜と俊哉は梨久の肩を、ポンと叩く。



「梨久一緒に帰ってあげたら?おれは春夜と帰るよ」

「女の子と帰れるなんて光栄な事なんだからな、むしろ俺は全力でうらやましいね」

「だったら、はるが帰ってあげれば?」

「ノンノン、笑佳ちゃんは君がいいの。じゃまた明日!」



言いたい事だけ言うと帰ってしまい、梨久と笑佳だけになってしまった。



いつの間にか他の生徒も帰ってしまい、まったく気づかなかった自分に梨久は嫌気がした。



静寂に満ちた教室。



梨久はこのまま無視して帰ってもよかったが、後々めんどうな事になるのは目に見えていた。



軽くため息をつく。



「離れて歩くなら、べつにいい」

「え?ほんと!?嬉しい」

「……」

「りっくん?」

「……なんでもない」






冷たい言い方をすれば、たいてい引き下がる。






なのに――――






「わけわかんない……変なヤツ」






< 27 / 73 >

この作品をシェア

pagetop