氷菓少年は天然少女にかなわない
不穏な影
「ちょっとなんでまた置いてくんだよ」

「うるさい。離れて歩け変態」



通学路の並木道を梨久と春夜、二人並んで歩く。幼なじみで家も近いが、梨久は一緒に登校するのがめんどくさいのともう一つ厄介な事があった。



「みてみて梨久様と春夜様よ!」

「ほんとだっ。朝から王子二人見れるなんてラッキーかも!目の保養すぎる〜」



梨久はこんな光景にうんざりしていた。毎朝早く登校する意味がすでに無くなりつつあり、今日の朝はタイミング悪く春夜と出くわし、今の状況にいたる。



教室に着いた時には精神力を使い果たし、席に着いた瞬間梨久は盛大にため息をついた。



正直やってられないし、自分は芸能人じゃない。梨久からしたら迷惑であるが、幼なじみの春夜だけは別物である。



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