氷菓少年は天然少女にかなわない
朝のホームルームが始まるまで案外時間がある。予習でもしようと教科書を開いた時、最大の声のボリュームで教室に駆け込んで来た佐助が叫ぶ。
「りー大変!!!」
「その呼び方でオレを呼ぶなよ。で、なに?」
「えみがすげー怖い顔した女に囲まれてんの!」
「……オレは関係ないじゃん」
「それがさ……どうも、梨久関係者みたい」
「わかったよ……はる、間に合わなかったら黒宮に伝えて。佐助、場所」
「裏庭」
梨久が教室を出ていったのを見送ったあと、春夜が呟く。
「そういや、梨久が走るの久しぶりに見たわ。とやまだ来てないわけ?いつも、俺たちより早いのに」
「こんな時もあるでしょ?」
佐助の言うとおりかもしれないと思い、春夜もそれ以上は口にしなかった。
「りー大変!!!」
「その呼び方でオレを呼ぶなよ。で、なに?」
「えみがすげー怖い顔した女に囲まれてんの!」
「……オレは関係ないじゃん」
「それがさ……どうも、梨久関係者みたい」
「わかったよ……はる、間に合わなかったら黒宮に伝えて。佐助、場所」
「裏庭」
梨久が教室を出ていったのを見送ったあと、春夜が呟く。
「そういや、梨久が走るの久しぶりに見たわ。とやまだ来てないわけ?いつも、俺たちより早いのに」
「こんな時もあるでしょ?」
佐助の言うとおりかもしれないと思い、春夜もそれ以上は口にしなかった。