氷菓少年は天然少女にかなわない
おそるおそる目を開けると、俊哉が手首を掴み恐い顔でその女子を睨んでいる。
「俊哉……くん?」
「ちょっとやりすぎじゃないの。こんな事する暇があるんだったら、もっと性格を磨きなよ」
俊哉が掴んでた手をパッと離すと一目散にいなくなった。笑佳の視線に気づき、俊哉が照れくさそうに一言呟く。
「……大丈夫?」
「うん。ありがとう、俊哉くん王子様みたいだった!」
「王子様?おれそんな柄じゃないけどな。手、貸そうか?」
「大丈夫だよ」
俊哉と笑佳が遠ざかって行く中、梨久は壁にもたれたままただ動けずにいた。
「……オレ来なくてもよかったじゃん」
梨久が失笑する。
そして、あの日を思い出す。
あの日を思い出す度、自分が嫌いになる。許せなくなる――――
「……情けないな」
「俊哉……くん?」
「ちょっとやりすぎじゃないの。こんな事する暇があるんだったら、もっと性格を磨きなよ」
俊哉が掴んでた手をパッと離すと一目散にいなくなった。笑佳の視線に気づき、俊哉が照れくさそうに一言呟く。
「……大丈夫?」
「うん。ありがとう、俊哉くん王子様みたいだった!」
「王子様?おれそんな柄じゃないけどな。手、貸そうか?」
「大丈夫だよ」
俊哉と笑佳が遠ざかって行く中、梨久は壁にもたれたままただ動けずにいた。
「……オレ来なくてもよかったじゃん」
梨久が失笑する。
そして、あの日を思い出す。
あの日を思い出す度、自分が嫌いになる。許せなくなる――――
「……情けないな」