氷菓少年は天然少女にかなわない
梨久の事が気になるのに、何を言えばいいのかまったく思い浮かばず笑佳が悩んでいると、何やら隣から視線を感じる。



隣を向けば、梨久と目が合う。



「りっくん……?」

「…………はるから聞いた」

「え?」

「探しに行こうとしてくれたんでしょ?……迷惑かけて悪い、でも――これでわかっただろ」



笑佳は今朝の事を思い出す。多分梨久はその事を言っていて、自分とは関わるなと言いたいのだとわかり――笑佳は首を振る。



「りっくんは間違ってる」

「……どういう意味?」

「仲良くしたいのに離れたい人なんていないよ。りっくんだって、好きだからお友達と一緒にいるんだよね?」



一瞬教室の騒音さえ忘れてしまうほど、梨久はその言葉に衝撃を受けた。たいていの女子はそれ以上踏み込まない、それなのに――



梨久は沈黙する。



それから、微笑を浮かべた。



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