氷菓少年は天然少女にかなわない
顔は明らかに嫌そうである。



「一応聞く」

「俺はね、俊哉の野菜弁当推薦する!あれ絶対女子受けするし、俊哉とセットで二重受けすると思うしさ」

「確かに。俊哉、どうする?」

「なんとなく嫌な予感はしたけど……やっぱり、な。いいよやる、客の獲得に繋がるかもしれないし」

「わかった。じゃあ、あとで人数を明記したプリント渡すよ。ホールのセッティングに関してはオレとはる、それから黒宮先生でやるからあとは神無月さんと俊哉の調理の手伝いをよろしく」

「俺も準備するのか!?今日はネットで注文した魔法少女のアニソンCDをがんがん聞く予定だったのに…………」

「はいはい。はやくやりますよ」



梨久の言葉に従って生徒が次々と教室を出て行く。梨久もホールのセッティングしに移動しようとした時、ふわっと甘い香りがした。



「りっくんがんばろうねっ」

「……ああ。これ、プリント。先輩の数そんなに多くないし、あれだけの人数で足りると思う。材料費は全部学校の方に報告すれば、学校から負担してくれるから」

「うん」



笑顔でプリントを俊哉の分も受け取り笑佳がパタパタと出て行くのを見送り、梨久も教室をあとにした。



「……変な感じ」



そう一言呟き梨久はホールに向かった。



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