氷菓少年は天然少女にかなわない
教室に着いた時、スーツを着こなした黒宮がすでにいた。



外見からは教師、などと言う単語は出てこない。不釣り合いであり、職業を間違えた人にしか見えない。



何故か黒縁の今どきのおしゃれ眼鏡をかけている黒宮を見、佐助がストレートに突っ込む。



「あっれ?どうしたの?メガネなんかかけちゃって……も、もしかして、メガネにも目覚めちゃったの!?」

「なわけないだろうが!草食男子や文学男子になって、メイド喫茶のメイドさんたちにあれこれいわれたい、なんて全然思ってないからなっ」

「……さてと、座ろ」



梨久の呟きと同時に佐助以外は全員席についた。



佐助以外全員が見なかった事にしようとしているらしく、誰も口を開かない。



「……宮原」

「はい?」

「頼むから口を開くな」

「そりゃあ無理だよ〜だって、喋らないと俺じゃないもーん」

「はあ……」



がっくりと肩を落とす黒宮。さすがの黒宮も、佐助には勝てないらしい。



< 48 / 73 >

この作品をシェア

pagetop