氷菓少年は天然少女にかなわない
気を取り直し改めて黒宮が口を開く。



「昨日の準備お疲れ。高田考案の弁当に関しては、宮原のお姉さんが車で運んでくれたし、神無月のクッキーは学校の家庭科室で作ったから問題ない。もう奴らも集まってるから移動だ、ホールに入ったら自由行動、以上」



廊下に出た瞬間、生徒たちは散り散りになり今からもう交流会と先輩の話で声が弾んでいる。大半が先輩の話で、誰々がかっこいいとか面白いと言う内容だった。



梨久だけは盛り上がる生徒の中で唯一普段とまるっきり表情が変わらず、女子から人気の高いクールフェイスである。



「てかさ、交流会の準備だけは一年のクラスのどこかがやらなきゃいけないのに、参加に関しては準備したクラスは強制であとは自由参加なんだって。片付けは、その参加しなかった生徒でやるらしいけど」

「ここの学校結構自由だからな。ほとんどがここに決めた志望動機が、自由で楽しそう、だし」



佐助と俊哉が二人並んでそんな話をしている。



春夜はうっかり黒宮に掴まってしまい、オタクとは何かの話を聞かされ今からもう疲れ気味だった。



ここの廊下は広く、全体的に真っ白で壁には小花柄が入っている。男子からの評判は謎だが、女子からは大変好評らしい。



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