氷菓少年は天然少女にかなわない
それを見ていた佐助が春夜の肩をばんばん叩きながら言う。



「いや〜残念だったね。あ、べつに全然笑ってないし、全然バカだなんて思ってないから!」

「……笑いながらいってる時点で、説得力ないけど」



俊哉が呆れ口調で言った時、ふわふわした栗色のウェーブがかった先輩が俊哉をじいっと見ている。頭には真っ白な大きなリボンがついている。



「……あの」

「はい?」

「おれに何か?」

「用はないですわ」

「……そうです、か」



俊哉がどうしようか困りかけた時、笑佳が俊哉の隣に駆け寄って来た。



「どうしたの……あ、それサボンヌちゃん?」

「サボンヌちゃん知ってますの!?」

「もちろんですよ〜サボテン界きっての、愛されマスコットキャラじゃないですか!」

「まあ、素晴らしいですわ。あなたお名前は?わたくしは睦月亜季です。亜季と呼んでくださいな」

「はい。私は神無月笑佳です、えみって呼んでください」

「向こうで一緒にお話しましょうか」

「はい」



亜季の胸には、亜季と同じリボンをしたキラキラしたお目目のサボテンのぬいぐるみがしっかりと抱きしめられている。



「……おれはどうすればいいんだ?」



俊哉がそう零した時、後ろで声がした。



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