氷菓少年は天然少女にかなわない
「くろの鬼!悪魔!ハゲ〜」

「ちょっと待て最後の!誰がハゲだ、誰が。残念ながら、まだ俺の髪はすごぶる元気だから。そして俺はまだまだ若い美青年だ」

「いーや、絶対ハゲるね!美青年じゃなくて、微青年の間違いだろっ」

「二度も言うな、二度も!誰が微青年だ」



ぎゃあぎゃあ黒宮と佐助が言い合いをしていると、バンッと教室の戸が勢いよく開いた。



「黒宮先生うるさいですよ。隣の教室にまるぎこえです!」



またしてもヒソヒソ声で話すクラスメイトたち。



「相変わらずオタクロと張り合ってるな、マリリン」

「は?いまなんて?」

「お前マジで知らないの?マリリンって呼ばないと祟られるらしいぞ」

「何そのオカルト的なウワサ!?」



とか。



「かなりのアイドルオタクで、給料ぜんぶグッズとライブにつぎ込んでるんだって」

「それやりすぎじゃん?」



ヒソヒソ声だったのだが、黒宮と同じくらい地獄耳だった。



「聞こえてるわよアンタたち!」



栗色のミディヘアに、清楚なお嬢様スタイル。



隣のクラスの担任、一ノ瀬壱子。



黒宮に負けず劣らずのアイドルオタク。



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