氷菓少年は天然少女にかなわない
梨久が教室に着く頃には当然黒宮がいた。



「すみません、遅れました。けどギリギリ遅刻じゃないんで」

「いや、アウトだ。この黒宮様がいるんだから、当然アウトに決まってるだろ」

「……めんどくさ」

「ほおう?相変わらず口だけは悪いな、口だけは」



クラスメイトたちはいつもの事なので、気にしない。



笑佳が俊哉の制服をくいくい引っ張る。



「俊哉くんどうしよう。りっくんが……」

「大丈夫、おれに任せて」



それを見ていた佐助が春夜にこそっと話しかける。



「なあ、とっしー様子変じゃん。りっちゃんもさ」

「気づくの遅いから。まあ……俺らが口出しできる事じゃないからね」

「ふーん?さすがホスト」

「黒宮と一緒にするな」



まただ。



どうしてこんなにもざわざわするのか。



苦しい。



この教室にいたくない。



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