氷菓少年は天然少女にかなわない
思い出も笑顔もこの胸に残っている。



今でもずっと。



「……もう、嫌なんだよ」



あんな思いをするくらいなら、もう二度と、誰かを好きにならない。



“りっくん”



「だから、もう呼ぶな……オレは何もしてやれないんだ」



なのに。



遠ざからない距離。



「……くそっ」



梨久は廊下の壁を何回も殴り、力なく呟く。



「……バカは、オレか」



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