氷菓少年は天然少女にかなわない
保健室は空っぽだった。もしかしたら、用事で今出払っているかもしれない。



午後からは花見。



思い足取りでベッドに横になる。



保健室独特の薬品の匂いがする部屋の中、梨久は無言のまま春夜にメールを送った。



佐助がうるさいかもしれないが、別に自分一人いないくらいで花見に支障はない。



「……沙夢……」



夢現無意識に呟く。



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