氷菓少年は天然少女にかなわない
「でも、私は好きだよ」

「……バカだろ、絶対」



梨久は疲れたように呟く。



梨久と春夜の近くの男子がひそひそと話している。



「萌えキャラで天然……なにこれ!少女マンガみたいな展開!?」

「落ち着けよ」



そこへ黒宮がちゃっかり乱入する。どうやら、しっかり聞いていたらしい。



「うんうん。これがいつの間にか、恋になっちゃったりしてあまあまのデレデレになるんだよ」

「そんなんだから、黒宮彼女できないんだろ」



このままだと永遠に続きそうな気がした梨久は、仕方なく答えた。



「時田梨久」

「私は神無月笑佳。えみって呼んでね、りっくん」

「…………は?」



りっくん、などと初対面で呼ばれた事もない梨久は、思わず面食らう。



< 9 / 73 >

この作品をシェア

pagetop