乱華~羽をくれた君~【完】
「今日話聞いてて陸がうらやましかった。
奈緒ちゃんにすげー想われてて。
・・でも俺だったらこんな風に悩ませたり悲しませることはさせない」
「ひ・・ひろ・・きさん・・」
どうしようどうしようどうしようどうし・・・
そうぐるぐる考えてるうちに、抱きしめられていた腕の力が緩み、広樹さんの顔をちゃんと見ることができた。
広樹さんは笑みを浮かべ、あたしの頬に手を添えた。
「陸より先に出会いたかった」
「あ・・・あのあたし・・・」
突然の告白に驚きを隠せない。
「奈緒ちゃん、陸じゃなくて・・俺と・・・」
広樹さんの目は真剣だった。
「「陸じゃなくて俺と・・」なに?」
その時、陸さんの声がしたので、あたしは反射的に広樹さんから離れた。
陸さんは腕を組んで、外壁にもたれかかっている。
服は仕事着のままだ。
あたしは全く陸さんの気配に気づいていなかった。
いつから話を聞かれていたのかもわからない。
「陸・・」
「・・・こんなとこで何やってんのかと思えば・・広樹、こいつのこと好きなの?」