乱華~羽をくれた君~【完】
「・・好きだって・・言ったら・・?」
広樹さん・・・!!!
冗談じゃ・・ないの・・・?
広樹さんも陸さんも、お互い鋭い目つきで睨んでいる。
「へぇ・・残念だな。
今俺ら付き合ってんの知ってんだろ?」
「ああ・・だけど奈緒ちゃん、幸せそうじゃないけど。
大事にしてやってんの?」
陸さんは広樹さんを睨んだ。
「うるせーな、おめーには関係ねぇだろ」
「陸、中途半端に付き合ってんなら、許せねーんだよ。まだお前の中に百合・・」
「だまれっ」
広樹さんの胸倉を、陸さんは強く掴んだ。
続きの言葉をあたしに聞かれたくないからだろうか。
しばらく2人は睨みあい、陸さんは広樹さんを離した。
そしてあたしの手を取り、陸さんは強引に歩き出した。
「ちょ・・ちょっと!!」
「おい陸!その子は他の女と違うんだよ!おめーもわかってんだろ!?」
広樹さんの問いかけに、陸さんは振り返りもせず、ずんずん歩きだす。
振り返って広樹さんを見ると、少し悲しげな笑顔であたしを見ていた。
広樹さん・・・・
まだお礼も言えてない・・
強く引っ張られている手が痛い。