乱華~羽をくれた君~【完】
真っ青な色の夏空。
じわりじわりと汗が出る。
今日は終業式だ。
明日から夏休みということもあり、学校へ向かう生徒達もいつもより楽しげな様子。
かったるい校長先生の話が終わり、教室で通信表をもらうと、あたしはすばやく学校を出た。
栞と待ち合わせをしていたからだ。
“今終わったよん!そっちは??”
学校の門を出たところで、栞にメールした。
画面には送信中…の文字。
送られたことを確認し、前を向いた時。
心臓がドクンと大きく音をたてた。
目の前には……
世界で一番、大っきらいな人物が立っていた。
「・・・奈緒・・・」
全身が金縛りにあっているかのように動かない。
「どうし…て…」
頭がパニックになった。
じりじりと近づいてくる義父。
やせ細り、頬もこけて以前の体格の良かった頃の義父の姿はそこになかった。
帰宅途中の生徒たちが振り向きざまにこちらを見ている。
あたしは振り返り、走った。