乱華~羽をくれた君~【完】




真っ青な色の夏空。


じわりじわりと汗が出る。


今日は終業式だ。



明日から夏休みということもあり、学校へ向かう生徒達もいつもより楽しげな様子。

かったるい校長先生の話が終わり、教室で通信表をもらうと、あたしはすばやく学校を出た。


栞と待ち合わせをしていたからだ。



“今終わったよん!そっちは??”



学校の門を出たところで、栞にメールした。


画面には送信中…の文字。


送られたことを確認し、前を向いた時。




心臓がドクンと大きく音をたてた。








目の前には……


世界で一番、大っきらいな人物が立っていた。




「・・・奈緒・・・」




全身が金縛りにあっているかのように動かない。



「どうし…て…」



頭がパニックになった。


じりじりと近づいてくる義父。


やせ細り、頬もこけて以前の体格の良かった頃の義父の姿はそこになかった。



帰宅途中の生徒たちが振り向きざまにこちらを見ている。


あたしは振り返り、走った。


< 105 / 263 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop