乱華~羽をくれた君~【完】
「奈緒!!」
振り返ると義父が追ってきていた。
あたしは無我夢中で走った。
でも震えが止まらず、うまく走れない。
しまいには足がもつれて転んでしまった。
「はぁ・・・はぁ・・・奈緒・・・どおして逃げるんだ・・・」
「きゃっ・・・」
義父があたしの腕を掴んだ。
逃げた場所は人通りの少ない飲み屋街。
夜なら沢山人がいる場所。
昼間はほとんど人がいない。
「・・・こんなにお前を大事にしていたのに・・・
愛しているのに・・・」
義父の目は血走り、尋常ではなかった。
あたしは恐怖のあまり叫ぶこともできない。
「一緒に帰ろう・・・」
口にハンカチを当てられ、やばい!・・・と思った瞬間、
あたしの意識はそこでなくなった。