乱華~羽をくれた君~【完】
「り・・・」
「もう何も言うな」
陸さんの胸に引き寄せられ、あたしの鼓動はだんだん早くなっていく。
「俺、あいつの事マジで殺したかった。
何発か殴って気ぃ失った時、亮に止められたよ。
でも全然気がすまなくて。亮がいなかったら俺、殺してたかも」
「陸さん・・・怪我してない?」
「ん。お前の方が怪我してんだろ」
そう言い、あたしの腕を掴んだ。
手首を縛られた時のアザがある。
「あ・・・こんなのすぐ消えるよ」
あたしがそう言い終えるのと同時に、陸さんはアザの部分に軽くキスをした。
どきっとする。
「アザは消えても、お前ん中であいつにされた事はずっと消えねーだろ」
「・・・消えるよ」
「え?」
「陸さんが側にいてくれれば、あんな事忘れられる。
だってずっとそうだったもん。
陸さんに会うまで、毎日が暗くて嫌で嫌でどうしようもなかったの。
死にたいとも思ってた・・・でも陸さんと出会って、付き合って・・・毎日が輝いてた。
毎日が陸さんでいっぱいだったの・・・
だからあいつのことも忘れられてた。本当だよ・・・!?」
「・・・なんでそんなに真っ直ぐなんだよ?」
陸さんは抱き寄せる力をさらに強めた。