乱華~羽をくれた君~【完】
百合と出会った日。
中学に入学して間もない頃、百合は2年の女にいじめられていた。
授業をさぼって校舎の裏で昼寝してたら女の怒鳴り声が聞こえてきて・・・そこの中心に百合がいた。
「覚えてるよ、でもお前いじめられてんのに泣いてねーし」
「我慢してたんだよ!泣いたら負けじゃん、悔しいもん。
・・・あの時、陸が助けてくれたんだよね」
「・・・昼寝してんのにうるせーからだよ」
「あはは。・・・でも助かった。あたし入学式からちょっと派手な格好してたから目つけられたみたいでさ」
「・・・あれからなんもされてねぇのか?」
「うん!陸のおかげだよ」
いつの間にか、いつも別れる交差点まできていた。
「・・・だから・・・そんな優しい陸が好きなの!!
・・・返事は今度でいいから!!じゃあね!!!」
百合は早口で言い、走って行った。
断るタイミングを見失った。
正直女なんていらない。
面倒だし、どーしたらいいかわかんねーし。
優しくなんかできねーし。
それがフツーの女じゃなく、百合だから尚更。
傷つけて、この関係を壊したくない。