乱華~羽をくれた君~【完】
「陸、今一人で住んでんのか?」
遊んだ帰り道、広樹が単車の後部座席にまたがり、言った。
「ああ。熊谷さんにアパート借りてもらった。今度来いよ」
熊谷さんは乱華の頭だ。
面倒見もいいし、何かと世話になっている。
施設を出た俺に、アパートを借りてくれた。
そしてこの単車もくれた。
「うっわ一人暮らし羨ましいな!熊谷さん、お前のこと気にいってるからなぁー」
「あの人はみんなに優しいよ」
「いんや、特にお前には甘い!もしかして乱華の頭引き継げって話くるかもな!?」
「まさか」
「・・・そーいやさ、百合が心配してたぞ」
「あ?百合?」
「お前が学校来ないから。寂しがってたぞ~?」
「あいつは俺がいなくてもやってけるだろ」
「・・・さあな。たまには学校にこいよ」
その言葉を合図にエンジンをかけ、広樹の家まで飛ばした。
・・・百合
あいつといると調子が狂う。
もう一人の俺を、引き出してくる。
俺はそれに少し戸惑っていた。