乱華~羽をくれた君~【完】
中一の三学期。
久々に学校の門をくぐった。
今日荷物の整理したらもうここへも来ることはないだろう。
13歳の俺は、大人のように簡単に働けない。
族の奴らに紹介してもらった飲み屋のキャッチの仕事で生計を立てている。
金いいし。…バレたらやばいけど。
でもその仕事は夜から朝にかけて。
学校へ行く時間にはもう睡魔が襲ってきている。
「桐谷!ちょっとこい!!」
昇降口で学年主任が待ち構えていた。
パンチパーマの40代、独身ヤローだ。
熱血先生で入学した時から俺とはそりが合わない。
「急いでるんでー。用事あんならここで」
「お前なめてんのか!何が急いでるだ!施設に電話したら出て行ったって言うしなぁ、今どこにいるんだ!?」
「どこでもいーだろ・・・もういい?」
「待て!!その頭もなんとかしろ!それで始業式に出るのか!!」
「始業式には出ないのでご心配なく」
素っ気なく返し、上履きに履き替えると早歩きで教室へ向かった。
廊下ですれ違う奴らほぼ全員が振り返る。
俺は夏休み前から身長が一気に伸びた。
そのせいか、別人に見られているのかもしれない。
その時、背後から俺を呼ぶ声が聞こえた。